情報システムとは、ソフトウェアやコンピュータシステムだけではなく、それらを使う人間を含めた目的活動を支援するものです。企業においては、ビジネス活動を支援するものになります。それは複雑系であり、表面的な問題に囚われて、その原因を解消しても、真の問題解決にはつながりません。
真の問題解決のためには、現状のシステムを理想のシステムに向かって、常に変化させ続けることが重要です。それは、理想のシステム自体も変化するからです。
私たちは、 情報システムの構築プロセスを「情報システムサイクル」と呼びます。
このサイクルは、建築業における「施主」、「設計者」、「施工者」という関係者たちのかかわりあい方に倣っています。
情報システムの「施主」は、情報システムに何を期待するかを主体的に考え、
関係者の協力を得ながら情報システムの構築に責任を負います。
それは、ソフトウェアの作成やインフラの構築を施工者に発注する今までの「発注者」とは異なります。
関係者の役割は次のとおりです。
ビジネスの課題を解決するために投資して、情報システムを作り活用させたい人。
建築に例えると、依頼主、お施主さん。
施主から要望を聞き、それを実現するように情報システムを設計する人。
建築に例えると、設計士さん。
実際にソフトウェアを作成し、インフラを構築する人。
建築に例えると施工会社さん。
施主はビジネス上の課題をどのように解決するか、そのために情報システムをどのように利用したいかなどの
「関心」や「期待」を持っています。
設計者は、それを施主と協力して業務のイメージあるいはビジョンに変換します。これを「原要求」と呼びます。
設計者は原要求を情報システムとして実現したい「要求」に変換し、施工者は設計者と協力して
要求をソフトウェアの「仕様」に変換して、「人工物」を作り出します。
施主は施工者と協力してテストと微調整(「現場合わせ」) を行い、
受け入れた「製品」である情報システムをビジネスに適用して効果を得ます。
施主は情報システムを運用していく中で、より価値を生むようにシステムを変化させていきます。
エンタープライズアーキテクチャは、その企業のCIOが定めた情報システムの設計、施工、運用に関する原則をまとめたものです。
施主が中心となり情報システムサイクルを回すことで、ビジネスに貢献し続ける情報システムが実現されます。
情報システムは複雑であるため、その理想のシステムが利害関係者間でなかなか一致しません。 しかし、情報システムを構築するには、構築するシステムに対して関係者が合意し、出来上がった情報システムを運用して、その効果を検証する必要があります。関係者のなかでも、施主がそうした活動の代表者となります。
ビジネスを支援するためには、そこで使われる“情報”を的確にとらえる必要があります。そうした“情報”を記述した設計図を「概念モデル」と呼びます。ここでは、ビジネスで発生するさまざまな事象と資源(人,設備,部品など)だけでなく,資源の使用を計画し,その実施結果を追跡できるように記述します。このような情報の発生の仕組みや原理を表現する本質的な「概念モデル」を記述できるかどうかが、情報システムの構築と成長にとって非常に重要です。
製造業での概念モデルの実例は下図です。図をクリックすると拡大します。