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ビジネス変革、変化前提の企業活動を支える情報システム実現のために

基幹系情報システム刷新の問題

 2020年代になって、漸くITの基盤である基幹系情報システムの老朽化が経営上の問題として認識されるようになり、多くの企業が基幹系情報システム刷新プロジェクトに着手しています。当社もマスタデータのモデリング等の支援で、基幹系情報システム刷新プロジェクトに関わることが増えました。しかし、全社的なプロジェクトとして大規模な予算をとりプロジェクト計画を策定したにもかかわらず、多くのプロジェクトが以下のような状況に陥っています。

など、プロジェクトの遅延や計画/ゴールの見直しが起きています。

問題の背景と原因

どのプロジェクトも、最初に行うべき、自社のビジネスや業務の理解とメンバー間の共有が不足していることが共通の直接的な原因です。多くのプロジェクトが、以下の背景もあり、業務全体を捉えなおすことができず、ビジネスや業務を理解し、メンバー間で共有するという作業が半ば形骸化しています。

・刷新プロジェクトの経験者の不在
長らくシステム刷新を行っていないため、自社、ベンダーに刷新プロジェクト経験者が不在であり、また、プロジェクトの成功事例も少ないため、プロジェクトについて、何を重視し、何から始めるべきか、どのように進めるべきか、組織としても個人としても経験知がありません。

・ERPパッケージ実装の目的化と実装するためのプロジェクト体制=プロジェクトのサイロ化
経験者が不在ということもあり、実装実績のあるERPパッケージ採用が先に決定し、プロジェクトが開始する事例が多くあります。ERPパッケージ実装が目的化し、担当領域を分けて推進するプロジェクト体制が構築されます。プロセスチームとデータチーム、データチームはデータ連携チームとマスタデータ管理チームなど、チームを分け担当責任を明確にしますが、プロジェクトがサイロ化するため、業務全体を捉えなおし理解を共有する作業は難しくなります。結果として、業務理解と共有が不足したまま、Fit&Gapと各業務部門の要求との調整になります。また、ビジネスの変化対応で複雑化したマスタデータの整備についてはビジネスと業務の観点から捉えなおすことが必要ですが、データチームの作業としたためにデータの観点からのみで検討し、解決策が見つからず、マスタデータ移行が遅れることもあります。

・組織のサイロ化
システムのサイロ化と同様に、ビジネスの変化により組織や業務もサイロ化しています。同じ顧客、同じ商品でも、業務部門間では業務の関わり方や認識が異なるため、意味合いや理解、興味が異なります。部門によって使用する業務システムのパッケージが異なれば、同じものやコトでも言葉が異なります。会議を行っても、各部門の業務課題と業務要求をリスト化し、調整することになります。

上記の背景から掘り下げると、「ビジネスや業務の理解とメンバー間の共有」の内容と進め方について、経験や事例がなく、わからない、ということが根本的な原因と考えられます。必要となるビジネスや業務の理解の内容と理解度、メンバー間の共有度が曖昧で、進め方がわからなければ、「ビジネスや業務の理解とメンバー間の共有」は不足します。

概念モデリングの目的と進め方

当社は、概念モデリングにより、ビジネスや業務の理解とメンバー間の共有を支援します。
対象とする業務は、どのような目的で、どのような顧客に対してどのような商品/サービスを提供し、どのような価値を生み、どのような資源や作業が必要になるのか?業務を複雑化、変化させている要因は何か?要因を吸収するにはどのようにしたら良いか?概念を整理し業務の構造を明確化したAsIs概念モデルを作成することにより業務理解が深まります。そのうえで、業務課題や業務ニーズ、変化要因を吸収するToBe概念モデルを作成し、新しい基幹系情報システムへのモデル実装に向けてアーキテクチャ作成を支援します。実務における概念モデリングの進め方を図1に記載します。

図1 概念モデリングの進め方

  1. AsIs論理モデルを作成する。
    データ定義書、業務フロー図、操作マニュアルなどの資料からAsIs論理モデルを作成し、モデルの形式で表現する。
  2. AsIs論理モデルからAsIs概念モデルを作成する。
    情報システム部門、各業務部門の参加メンバーが主体的に考え、当社はモデリング技術により支援し、概念を整理、業務構造を把握、メンバー間で共有し、業務課題やニーズ、問題発生要因を明確化する。
  3. AsIs概念モデルからToBe概念モデルを作成する。
    AsIs概念モデルで明らかになった業務課題やニーズ、変化する要因、問題発生要因を吸収するToBe概念モデルについてメンバー間で検討する。作成したモデルをビジネスや業務のいろいろな変化に対応するものであり、モデルを精緻化する。
  4. アーキテクチャを作成する。
    ToBe論理モデル作成に向けて,モデルが実装に反映するために運用面も考えたアーキテクチャを検討し作成する。

上記の2~3が概念モデリングであり、複数の業務部門やシステム部門の参加メンバーが、概念モデルを共有しモデルをもとに議論します。モデルを共有しながらメンバー間で検討することで相互の業務理解や思考過程もわかり共有も深まるものとなります。成果物として概念モデルを作ることが目的となりますが、過程となる概念モデリングの経験は、今後のモデルの更新や新しい業務設計を取り組むうえでのノウハウとなります。モデリングの内製化を進め、将来的に情報システム部門が概念モデリングを担うことも重要な目的と考えます。

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